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【徹底解説】2022年度電子帳簿保存法改正について(前編)

掲載日:2021年10月8日
【徹底解説】2022年度電子帳簿保存法改正について(前編)

2022年に電子帳簿保存法が改正されますね。
本コラムで、まず電子帳簿保存法についてのおさらい、そして、電子帳簿保存法についての改正内容を解説いたします。
後編では、電子請求書システムについてのご紹介も致します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは

高度情報化やペーパーレス化が進展する中、適正公平な課税を確保しながら、納税者の帳簿書類の保存の負担軽減を図ることを目的とし、請求書などの国税関係書類の一部を電子化できることを認めた法律として、1998年に成立しました。

電子帳簿保存法の主な内容

請求書など、この法律に基づく国税関連書類の電子化の方法としては、以下の3つの方法があります。

コンピュータデータによる電子化

請求書などの国税関連書類を最初からコンピュータを使って作成し、印刷せずにサーバやDVD、CDなどに保存する方法。

マイクロフィルムによる電子化

請求書などの国税関連書類をコンピュータで作成し、COM(電子計算機出力マイクロフィルム)によって保存する方法。

スキャナーによる電子化

紙の請求書などの書類をスキャンしてデータに変換して電子化する方法。
2005~2015年までは、スキャナー保存にはかつて電子署名が必要であり、スキャナー機能を使って取り込んだ請求書などの書類のみがスキャナーによる保存の対象でしたが、その後の法改正により、保存要件が緩和されています。

電子化可能な対象書類とは

電子化可能な対象書類とは

電子帳簿保存法が定めるデータ保存が可能な国税関係書類は以下のようになっています。

帳簿類 (仕訳帳・現金出納帳・売掛金台帳・売上帳・仕入帳など取引を記録した帳簿)

コンピュータから直接出力したデータまたはマイクロフィルムによる保存が認められています。

書類 (棚卸表・貸借対照表・損益計算書・注文書・請求書・領収書など)

コンピュータから直接出力したデータまたはマイクロフィルムによる保存の他に、一定の要件を満たせば、紙の書類のスキャナー保存による電子化が認められています。

電子取引の情報

インターネットやECサイトを通じて得られたデータです。

国税庁 電子帳簿保存法一問一答

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_04.pdf

電子帳簿保存法改正について

2022年4月1日より、電子帳簿保存法が改正・施行され、より請求書などの電子化がしやすくなります。

改正の背景

当初、電子帳簿保存法が許可する電子化できる書類とは、コンピュータから直接出力される決算関係書類のみが対象であり、もともと紙の請求書などの書類は対象外でした。
その後、スキャナー読み取りが容認されたものの、申請手続きの煩雑さや、迅速にタイムスタンプ付加することや、厳重な事務処理要件などがあり、請求書などの電子化の普及が遅れていました。
更に、経理処理の電子化ニーズの高まりも、改正の背景となっています。

2022年度法改正の主なテーマ

国税関係帳簿書類の特例の要件緩和

これまで、請求書などの国税関係帳簿書類の電子化を行う場合、運用開始の3ヶ月前に承認を受ける必要がありましたが、この要件が大きく緩和されます。

電子取引にかかる保存義務

一方、今回の法改正では、規制が強化される内容もあります。
これまで、電取引を行った際の書類の保存はデータでも紙でもOKでしたが、今後は電子化されたデータのみで、紙の書類での保存が認められなくなります。

5つのポイント

では、2022年の法改正で、どんな点が具体的に変わり、どう対応すべきかを見ていきましょう。

承認制度の廃止

従来、請求書などの国税帳簿書類の電子化を行う際には、電子化を始める3ヶ月前に所轄税務署長に「承認申請書」を提出し、許可を受けることが義務付けられていましたが、要件を満たせば、すぐに請求書などの電子化が認められるようになりました。
それまでは、申請書類に不備があった場合など、再申請が必要になるなど、一定の期間が必要でしたが、その部分が劇的にスピードアップされました。

タイムスタンプ要件の緩和

これまでのスキャナーでの保存要件は、請求書や領収証など国税関係書類を受け取った社員が書類に自署し、受領から3日以内にタイムスタンプを付与したデータを用意しなくはなりませんでしたが、改正後は請求書などに対する自署が不要になり、タイムスタンプの付与が最長2ヶ月+7営業日以内となります。 従業員が取引先から受け取った請求書や領収書を3日以内に処理しなければならないというのは、実務的に無理がありましたから、今回の改正で制度が実質的になったと言えます。
また、請求書などの書類の訂正や削除の履歴が保存できるシステムを利用した場合、タイムスタンプ要件も不要になりました。

検索要件の緩和

改正前の法律では、勘定科目やその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できることが求められていましたが、改正後は、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目が検索出来れば良いことになりました。

適正事務処理要件の廃止

適正事務処理要件とは、請求書などの国税関係書類をスキャナー保存する際に、書類の受取りから入力までの各事務作業について、「相互けん制」「定期的な検査および再発防止策等の社内規定」などを定めることが求められていましたが、改正後はこの要件が廃止されました。
そのため、事務処理担当者を複数名確保したり、定期検査まで請求書などの紙の原本を保存したりする必要もなくなりました。

電子データ保存義務化

契約書や見積書、発注書、請求書、領収書、送り状などの電子取引に関する書類は、従来、紙での保存も認められていましたが、改正後は電子化保存が義務付けられます。
電子取引とは、EDIやインターネットを使用した取引、メールの添付ファイルでの取引、ECサイトなどでの取引など、ネットワークなどを介して取引情報のやり取りが完了するような取引のことを言います。取引先からFAXで受信し、複合機などで電子化された請求書などの場合も、電子データ扱いになります。

電子化のための要件

電子取引のデータを保存する場合は、以下の要件が必要です。

  1. 概要書やマニュアルなどを備え付けること

  2. ディスプレイやプリンタを用意して、いつでも出力できるようにしておくこと

  3. 取引日、金額、取引先などの項目で検索できること

電子化の方法

以下のいずれかの方法で電子取引データの保存が出来ます。

  1. タイムスタンプ付与済みのデータを授受する

  2. 取引データを受け取った後、タイムスタンプを付与する

  3. 取引データの訂正・削除履歴が残るシステムで保存する

  4. 取引データの訂正・削除防止に関する事務処理規定を設けて運用する

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