インボイス制度とは?適格請求書等保存方式 対応ガイド

掲載日:2022年8月9日
インボイス制度とは?適格請求書等保存方式 対応ガイド

多くの事業者にとって対応が必要となる、インボイス(適格請求書)制度とは何か?制度の概要、対応方法のポイント、適応できるシステムなどについて、要点を絞ってわかりやすく解説します。

適格請求書(インボイス)とは

商品やサービスの売手が買手に対して、適用税率や消費税額等を正確に伝える請求書のことを指します。

インボイスの記載事項とポイント

適格請求書発行事業者は、請求書や納品書その他これらに類する書類を交付する場合、以下の事項が記載さなければなりません(下線の太字項目が、現行の区分記載請求書の記載事項に追加される事項)。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  5. 消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

端数処理

請求書を発行する際の税額計算は、これまで明細ごとや合計金額に対して計算し、その際に端数処理を行っていましたが、インボイスの導入に伴って、「一つのインボイス(適格請求書)の税率ごとに合計した対価に対して税率をかけて端数処理を行う」ことになりました。 そのため、明細ごとに端数処理を行っていた場合には、コンピュータシステムの改修が必要になります。

適格請求書(インボイス)とは

そもそもインボイス制度とは、複数税率に対応した新しい消費税の「仕入税額控除」の方式である、「適格請求書等保存方式」のことを言います。

消費税を納税する場合、売り上げた分の消費税から、仕入や経費など支払った分の消費税を引いて納税しますが、平成31年(2019年)10月1日より消費税が10%に引き上げられるとともに、軽減税率8%がスタートしました。複数の税率が併存するため、よりわかりやすく、正確に消費税の納税が行われることを目的として、2023年10月1日より、インボイス制度が始まります。

インボイス(適格請求書)を発行できないと、消費税の税額控除が受けられなくなって損失が発生したり、インボイスを交付できないために取引を継続できなくなったりする可能性もあります。企業活動にとって、避けて通れない重要な制度変更です。インボイス(適格請求書)を発行するには税務署に申請して登録事業者となることが必要です。

また、商品やサービスの売手側と買手側には、それぞれ以下のような役割があります。

<売手側の役割>

売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

<買手側の役割>

買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。買手が作成し、売手が証明した仕入明細書等による対応も可能です。

消費税の税額計算

インボイス制度導入に伴って、消費税の計算方式が変更になっています。

<インボイス導入前>

1年間の総売上に対する消費税を計算して税額を決める「割戻し計算」という計算方法のみが認められていました。

<インボイス導入後>

「割戻し計算」に加えて、都度売上で発生した消費税の金額を足していくことによって税額を算出する「積上げ計算」を利用することができるようになりました。

ただし、売上税額について、「積上げ計算」ができるのは、適格請求書発行事業者に限られます。また、売上税額を「積上げ計算」で計算する場合、仕入税額も「積上げ計算」で計算しなくてはなりません。

仕入税額控除の要件

仕入税額控除を受けるためには、以下の要件が必要になります。

  1. 一定の事項が記載された帳簿の保存
  2. インボイス(適格請求書)の保存

従来の区分記載請求書等保存方式から令和5年10月1日よりスタートする適格請求書等保存方式では、②の要件、つまり新たな様式の請求書の保存が義務化されるわけです。

税額計算

最終的に事業者が国に納税すべき消費税額は、課税売上げに係る消費税額(売上税額)から、課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)仕入税額を差し引いて計算します。

【消費税額】  =  【売上税額】   -   【仕入税額】

インボイス交付義務免除の特例

適格請求書を交付することが困難な以下の取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。

  1. 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る。)
  2. 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
  3. 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る。)
  4. 自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限ります。)
  5. 郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

適格請求書発行事業者の登録申請

適格請求書発行事業者になるためには、所轄税務署長に対して、申請し審査を受けて登録する必要があります。

申請の方法は書面での申請の他に、e-TAXを利用することもできます。e-TAXを利用することにより税務署からの登録通知書を迅速に受け取ることができます。その登録通知書データを添付してメール配信すると、取引先への連絡がスムーズになり、信頼感が増すことにも繋がります。

インボイス制度のスタートである令和5年10月1日に登録を受けるためには、令和5年3月31日までに登録申請手続きを行う必要があります。

インボイス制度実施にあたっての経過措置

インボイス制度がスタートすると、原則、免税事業者からの仕入に対する仕入税額控除が受けられなくなりますが、以下の期間で段階的に仕入税額控除を認める経過措置を用意しています。

<経過措置>

  • 令和5年10月1日3年間 ・・・・ 課税仕入れの80%控除可能。
  • 令和8年10月1日3年間 ・・・・ 課税仕入れの50%控除可能。
  • 令和11年10月1日以降 ・・・・ 控除不可。

適格簡易請求書

小売業や飲食店業、タクシー業など、不特定多数の者に対して販売等を行う事業者に対しては、適格請求書の代わりに、「適格簡易請求書」を交付することができます。その際、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」は不要になります。

電子インボイス発行も可能

適格請求書は、書類での交付の代わりに、電子データでの交付することができます。電子データの様式は、書面の場合と同じです。 適格請求書の電子データとしての提供方法としては、オンラインを通じたEDI取引や、電子メール、インターネットのサイトを通じた提供や、記録用媒体を利用した提供などが認められています。

【参考】国税庁「適格請求書等保存方式の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf

Web請求書発行・受取システム「e-メイサイPRO」について

インボイス制度について、基本的な要点に絞り、わかりやすく説明してきましたが、いかがだったでしょうか?インボイス制度は、ほぼ全ての事業者にとって、必須の取り組みになります。取引相手にも大きな影響を及ぼすため、スムーズな対応をしたいものです。

さらに、インボイス制度は法律に基づき、期限内に請求書のフォームの適格化や保存方法について、厳正な対応が求められるようになります。

株式会社シスプロでは、インボイス制度への完全対応をしながら、従来の請求書発行・受取業務をも合わせて効率化できるサービスを提供しています。

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e-メイサイPROでは、請求書発行側も受取側も双方にメリットがあるサービスを提供しています。サービスは、インターネットを通じてご提供しますので、特殊な機器やソフトウェアなどを必要とせず、スピーディに導入が出来ます。

<請求書を受け取る企業様のメリット>

  • 複数の請求書の一括管理が可能になります。
  • 請求書の遅延に悩まされなくなります。
  • 請求書の紛失を防止できます。
  • 月次決算を迅速化出来ます。
  • 過去の請求書の履歴を確認できます。

<請求書を発生する企業様のメリット>

  • 請求書の印刷、封入・封緘、発送コスト削減出来ます。
  • 人的ミスを激減出来ます。
  • 郵送コストを削減出来ます。
  • 郵送した請求書の紛失防止できます。

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